時間分解XAS測定は、溶液中の金属錯体の光励起過程を調べるうえで有効な方法である。レーザーパルスを軟X線パルスとほとんど同軸に液体セルに導入することで、時間分解XAS測定を実現した。レーザーパルスに対する軟X線パルスの遅延時間を変えることで、[Fe(phen)3]2+水溶液の基底状態と光励起状態のN K吸収端XASスペクトルを得た。光励起による[Fe(phen)3]2+錯体の高スピン状態から低スピン状態への緩和過程を、配位子のN K吸収端XAS測定から調べて、その時定数はFe K吸収端XAS測定で得られた時定数に近くなることが分かった。
