N K吸収端XASによるポルフィリン金属錯体の金属-配位子間の非局在化の解明

水溶液中のポルフィリン金属錯体の電子状態と配位構造を調べるために、金属L2,3吸収端による中心金属とN K吸収端による配位子のXAS測定を行うことで、その金属-配位子間の非局在化を議論した。配位子のN K吸収端XASスペクトルにおいて、ポルフィリン金属錯体のスピン状態や電子状態の違いにより、ポルフィリンコバルト錯体(CoPPIX)のC=N π*ピークが、ポルフィリン鉄錯体(FePPIX)と比べて高エネルギーシフトすることが分かった。ここから、N K吸収端XAS測定により、金属-配位子間の非局在化の中心金属依存性を直接観測できることが分かった。また、異なる配位構造のCoPPIXの内殻励起計算から、水溶液中でCoPPIXに水分子が配位しないで5配位構造を維持することが分かった。

  1. M. Nagasaka et al., Phys. Chem. Chem. Phys. 26, 23636 (2024).