液体水と塩水溶液における水素結合ネットワークの温度依存性

塩水溶液における水分子とアルカリ金属イオンの分子間相互作用を、O K吸収端XAS測定で調べた。塩水溶液におけるイオンに配位する水のPre-edgeピークは、陰イオンでは変化せず、陽イオンでは高エネルギーシフトすることを見出した。液体水の温度変化に伴う水素結合ネットワークの変化を、Pre-edgeピークのエネルギーシフトから調べた。LiCl水溶液におけるLiイオンに第一配位した水分子は、温度変化によるPre-edgeピークのエネルギーシフトが小さいことが分かった。ここから、Liイオンへの配位水の結合が強いため、温度を変えてもLiイオンの配位水の構造はほとんど変化しないことが分かった。

  1. M. Nagasaka et al., J. Phys. Chem. B 121, 10957 (2017).