分子動力学計算による分子配置を基にした液体アルコールのC K吸収端内殻励起計算

液体アルコールであるエタノールとメタノールのC K吸収端XASスペクトルを再現するために、分子動力学計算で得られた液体構造を基にした内殻励起計算を行った。中心のエタノール分子と、そのCH2‒CH2距離が6 Å以内のエタノール分子を含む1000個の液体構造のスペクトルの重ね合わせにより、液体エタノールのC K吸収端の内殻励起スペクトルを得た。計算により得られたC K吸収端の内殻励起スペクトルはXAS実験で得られたスペクトル形状とよく一致すると共に、気体から液体への状態変化に伴うスペクトル変化をよく再現することを確かめた。

  1. M. Nagasaka, J. Chem. Phys. 158, 024501 (2023).